ガンマナイフ治療とは

一般社団法人 日本ガンマナイフ学会

ガンマナイフ研究会のホームページをご参照ください。

治療精度

定位放射線治療とは、『極小照射野で線量を集中的に照射する治療法であり、頭頚部に対する治療においては、照射中心の固定精度が2mm以内のもの』と定義されています。ターゲットとなる頭蓋内病変にいかに正確に照射されるかが、治療効果を高め、周囲組織へのダメージを最小する大きな鍵をにぎっているということは言うまでもありません。治療精度に関してガンマナイフは放射線源が固定されているという他の装置にない原理的な有利さがあり、さらに頭蓋をフレーム固定した場合には頭蓋も全く動かず、可動部分が多くある他の全ての定位放射線治療装置の目標となる究極の精度を担保しています。また悪性腫瘍や、大きな腫瘍に対応する分割照射のためパーフェクション以降の装置に組み込まれたマスクと赤外線による体動監視装置は照射中の全ての時間の体動を監視する唯一のシステムです。このため計画とズレた位置への照射が起こり得ないシステムとなっております。他の治療装置では照射位置の確認は照射と照射の間のみで行われ、照射中の体動を監視しておりません。

周囲正常脳の被曝

多発脳転移に対して同一条件で治療計画を作成し、周囲の正常脳が受ける線量をガンマナイフと他の代表的な定位放射線治療装置との間で比較した研究が、これまでに複数報告されています。2024年に発表された論文では、5つの脳転移巣すべてに24 Gyを処方した場合の4種類の治療装置による線量分布が比較され、ガンマナイフは周囲の正常脳に対する低線量域の広がりが最も小さいことが示されました(図8)。

図8
図8

出典:Hanvey S, et al. A multi-centre stereotactic radiosurgery planning study of multiple brain metastases using isocentric linear accelerators with 5 and 2.5 mm width multi-leaf collimators, CyberKnife and Gamma Knife. BJR Open. 2024;6(1): tzae003. doi:10.1093/bjro/tzae003. Fig.2を一部改変して転載。
Licensed under CC BY 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).

また、照射中心からの距離と線量の関係を調べた研究では、同一距離における線量は、ガンマナイフが他の定位放射線治療装置と比較し、著しく低いことが示されています(図9)。これは、頭部から遠く離れた体幹部(甲状腺、胸部、腹部、性腺など)への被爆を抑え、悪性腫瘍を含む新たな腫瘍の発生等の晩期性放射線障害発生のリスクを低減させることにつながります。特に、血管奇形や良性腫瘍など、若年者に多くみられる疾患の治療において、その意義は大きいと考えられます。

図9
図9

出典: Paddick I, et al. “Extracranial dose and the risk of radiation-induced malignancy after intracranial stereotactic radiosurgery: Is it time to establish a therapeutic reference level?” Acta Neurochirurgica. 2021;163:971–979. https://doi.org/10.1007/s00701-020-04664-4. Fig.1を一部改変して転載。
Licensed under CC BY 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).

頭蓋内病変、特に良性脳腫瘍や血管性障害に対して定位放射線治療が効果的であるという事実の大部分は、この数十年間で全世界から報告されてきたガンマナイフの治療成績により作りあげてきたものです。(図10)に示すように、ガンマナイフ治療の論文数は他の治療装置での報告を圧倒しており、追随した他の治療装置でガンマナイフと同等の結果が得られるかは必ずしも証明されておりません。

図10
図10

出典:Elekta Database with Information from PubMed(エレクタ社 Per Nylund氏のご厚意により2014年までのデータを掲載)。2026年10月までのデータは、同一の検索条件でPubMedから当施設にて抽出した。